平和への道程について

イギリスの作曲家カール・ジェンキンス(1944〜)が 1999 年に作曲した 13 曲からなる独唱・混声合唱とオーケストラのための ミサ曲です。原題は“The Armed Man(武装した男)”で、“A Mass for Peace(平和のためのミサ)”の副題がつけられています。20 世紀末のコソボ紛争(1996〜99)の犠牲者達に捧げられた、軍靴の足音やドラムで表現した大砲の炸裂音などを交え、人間が抜け 出すことのできない不条理な行為「戦争、虐殺」の嘆きを歌い上げた異色の「レクイエム」です。イスラム教、ヒンドゥー教、キリス ト教の言葉がテキストとして用いられ、第 8 曲の「怒りの炎」では被爆者である峠三吉の「原爆詩集」の一節が歌われています。まさ に、言語や宗教、文化の違いを超えた、人類普遍の平和への願いを表現しており、2000 年の初演以来、世界で 1700 回以上演奏 されています